
わたち、12月30日午前3時10分に虹の橋を渡りました。
夜中、ワオワオ鳴き続けるわたちに、おかーちゃんは、体の向きを変えたり、さすったりしてくれてたんだけど、息をするのが苦しかったのよ。でも抱っこしてもらったらホッとして、楽になったの。
それからすぐ、ゆっくり呼吸が止まったの。ハナちゃんたちが迎えに来たのがわかったから、後をついて行ったら、そこはキレイなお花畑だったわ。
うしろを振り返るとおかーちゃんが大泣きしているの。
「体がまだ温かい、まだ温かい。生き返るかもしれない」って言いながら、わたちのことを抱きしめたまま離さないのよ。
わたちね、19歳と145日生きたの。
このおうちに来たのは2011年12月3日。12年目に入ったところ。あと2日生きれば、数えで20歳だったのに惜しかったわ。
来た時は、歯石で歯がかろうじてくっついている状態で、上顎は溶けて穴が空いていたのよ。ここにごはんが入り込んじゃう、っておかーちゃん、最後まで苦労していたわ。結局、歯は全部抜くことになったんだけど。おかーちゃんに言わせるとこれが長生き出来た理由らしいわ。
お腹を開けたら、今どき使わない解けない糸で子宮が結ばれていて、担当の獣医さんが「これが原因で病気になったら、訴えれば勝てるレベルの問題ですよ」と怒っていたんだって。
甲状腺癌にもなったの。大手術だったらしいわ。
ヘルニアもやったし。ダイニングテーブルから飛び降りていたんだから無理ないわね。おかーちゃんね、手術したくないからって、片道2時間かけて鍼に通ったの。
最後まで引きずったのは、皮膚病。最初はマラセチアって診断されたけど、これが違っていたのよ。本当の病名がわかったのは去年。おかーちゃんね、人間のサプリで直したの。信じられないくらいみごとに皮膚がきれいになったのよ。カユカユもなくなったし、梅雨に悪化することもなくなったわ。もう、飼い主の執念としか言いようがないわね。
おとーちゃんも頑張ったわよ。食事担当はおとーちゃんだから。最後はブッチをミキサーにかけて濾してもらって食べていたの。お水はスポイトで口に垂らしてもらうのよ。
目も見えなくなったし、耳も聞こえなくなったけど、おかーちゃんの匂いだけはわかるの。最後におかーちゃんの腕の中で息を引き取れてよかった。
ガラケーで撮った、たった一枚の小さな写真を目に留めて、わたちを引き取ってくれたおかーちゃんなの。これからしばらくは、虹の橋のたもとでおかーちゃんが来るのを待つことにするわ。
おかーちゃん、7ヶ月間まともに寝てないでしょ。今日はゆっくり休んでちょうだい。
またいつか、あちらの世界でわたちを見かけたら、声を掛けてね。
いままでたくさんの応援とコメントを本当にありがとう。
夏芽より

今日は、いいお天気だったの。お外はポカポカ20度超えよ。
こんな日は、テラスでお茶に限るわ。
注文カウンターまではワンOKのカフェ、わたちが注文したのは、シナモンロールとカフェオレよ。
「おいしそう〜♡ おかーちゃん、食べてもいいかな?」
いつものわたちのセリフをつぶやいたのは、おかーちゃんだった。
「だめ!」
いつものおかーちゃんのセリフを言ったのは、わたち。
おかーちゃんね、甘いもの禁&揚げ物禁になっちゃったの。
健康診断で引っかかっちゃったのよ。
「あ〜、チョコレートたべたい! 鳥の唐揚げたべた〜い」
「おかーちゃん、おとーちゃんのカバンに入っているチョコレート、一個もらってあげようか?」
「うん!」
「そのかわり、お風呂の回数減らしてくれる?」
「仕方ないわね、、、」
「おかーちゃん、車のダッシュボートに入っているキャラメル、一個くすねて来ようか?」
「うん!」
「そのかわり、爪切りの回数減らしてくれる?」
「仕方ないわね、、、」
「うふふ♡ これで、毎日が天国よ♡ 今度はブルーベリーとアップルパイで釣ろうかな」
おかーちゃんをエサで釣ることを覚えた夏芽ちゃん、次のエサを探しに出かけた、、、

ウチの柿は、実がならないとつぶやいたら、山のような光り輝く柿さんがやってきた。
黒い猫のおにーさんが運んできた箱を開けた夏芽ちゃん、思わず叫んだ。
「おかーちゃん! すごいわ!美味しそうなピカピカの柿さんが届いたわ!」
寒さに弱い夏芽ちゃん、体調を崩したら、ママさんから電話があった。
「最強グッズを見つけたの!」
送られてきたのは、赤ちゃん用のロンパースだった。
4本足がすっぽりおさまり、肉球まで温かい。
これなら冬でもテラスでお茶できる。
おかーちゃんは、思わず叫んだ。
「かわいいっ〜〜〜♡♡♡」
柿が食べたいと言ったら柿を、寒いとなったら最強ロンパースを手に入れた夏芽ちゃん。
でも、本当に最強なのは、欲しいものを何でも引き寄せる夏芽ちゃんかもしれない・・・

ウチの柿さんが、見事な紅葉を見せてくれたの。
今年は特にキレイだわ。
早速お庭に出て、観賞よ。
でも、この柿さん、ひとつ欠点があるのよね。
実がならないの。
「おかーちゃん、わたち、柿の実が食べたいわ」
「そうねえ、やっぱり地植えにしないと実がならないわよねえ」
食べ物のためなら、即行動のおとーちゃん、お庭に穴掘りをすることにした。
「桃栗3年、柿8年って言うからな。あと8年すれば食べられるよ」
労働を終えたおとーちゃんは、満足そうに言った。
「え? あと8年もかかるの? わたち、それまで生きていないわよ」
おかーちゃんは、ニヤッと笑いながらわたちを見た。
「あら、夏芽ちゃん。ギネスに載っているワンの最高年齢は29歳5ヶ月だって。夏芽ちゃん、8年後はまだ27歳よ。大丈夫、柿食べられるわ」
おかーちゃんは、あの手この手で夏芽ちゃんを長生きさせようとしている。