
「せっかく出掛けたのに、どこにも寄らないで帰るのぉ?」
おとーちゃんは病院の帰りにつぶやいた。
「当然でしょ。夏芽は病気なんだから。」
「おかーちゃん、わたち、内臓の状態は完璧なの。悪いのは脚だけ。ちょっとだったら寄り道してもいいわよ。」
「夏芽ちゃんは、やさしいねえ。」
おとーちゃんは喜んだ。
で、わたちたち、ペッパー君に会いに行ったの。今話題のロボットくんよ。
「こんにちは。ゲームやってかない?」
「うわ~、すごい!これが最新のテクノロジーなんだ!」
アナログおとーちゃんの目はまんまるになった。

「ゲームは、この次にするわ。子供たちが並んでるし、わたち、まだ治療中だから。」
「じゃあ、みんなによろしくね!」
ペッパー君は、おかーちゃんのカメラに向かって手を振った。
夏芽ちゃんは驚いた。
「すごいわ。ポーズが取れるのね。ハナちゃんのライバル出現だわ。」
おかーちゃんは写真を撮りながら固まっている。
「うちに一台ほしい、、、」
「さあ、帰るよ。夏芽ちゃんが疲れちゃうからね。」
おとーちゃんはおかーちゃんの腕を引っ張った。
「おかーちゃんが、ほしいなんて言い出したら大変だからな。」
さすが、おとーちゃん。見抜いている、、、