
今日は節分だ。豆の早食い競争の日だね。ハナちゃん、早食いには自信があるよ。
でも、豆をぶつけられる鬼さんはたいへんだね。痛いだろうなあ。
と、思っていたら、うちにも鬼さんがやって来た。口を開けっ放しにしてブツブツ言ってる。
「ボクがいったい何をしたっていうんだ。どうしてみんなボクに豆をぶつけるんだ。」
「鬼は外、福は内、、、じゃないんですか?」
「追い出される理由なんかないもん。」
「でも、桃太郎は鬼退治に行ったし、、、」
「桃太郎を読んだことないの?なんで鬼退治に行ったか理由が書いてないでしょ。」
「そういえばそうですね。」
「鬼はね、みんな仲良く鬼ヶ島で暮らしていたんだよ。それなのに、きびだんごで釣られた犬たちが桃太郎といっしょにやってきて、ボクたちの宝物を奪ってったんだ。」
「それはひどい話ですね。鬼さん、うちにいていいですよ。」
「フン!なんか食べるもんないの?」
鬼さんはおなかが空いているらしく、ハナちゃんが差し出したドッグフードをたいらげた。
「はあ、おなかいっぱいになった。じゃあ、帰るね。」
日付が変わる頃、鬼さんは帰っていった。あとには「お礼」と書かれた紙とたくさんの金貨が残されていた。
みなさん、ほんとの福は鬼さんかもしれないよ。