
おかーちゃんが、しずしずと帰ってきた。
「これ、だあれ?ハナちゃんのおひなさまに似てるね。」
「今日はね、文楽教室だったの。応募したら当選したのよ。太夫と三味線の解説のあとに人形の使い方の説明があったの。でね、突然 “やってみたい人いますか”って聞かれたのよ。おかーちゃん、一番最初に “はいっっっ!”って手をあげたの。そしたら、顔を動かす“かしら”っていう、まあ一番いい役ね、それをやらせてもらえたの。なんか江戸時代に行ってきたみたいな感じがするわ。」

「あのお人形さん、生きているみたいだったの。舞台をひとまわりして、それからお辞儀をさせる、っていうのをやらせてもらったんだけど、おかーちゃんの魂を読み取って動いてたみたいだったわ。」
「おかーちゃん、まだ、お彼岸だよ。この前はネズミさんが来たよね。今回はお人形さんが来るの?」
「あり得るわ。ハナちゃん、今晩、電気を消したら、よーく目をこらして見て。空中に八百屋お七が浮かんでいるかも、、、」
ご先祖さん、いつもいろいろ送ってくださってありがとうございます。おかげでハナちゃんは毎日が面白くて虹の橋を渡るのは20年先でもいいと思っています、、、