
ハナちゃんは、また獣医さんちに置きざりにされた。
病室には猫のクロちゃんがいた。待合室には受付鳥の伍郎ちゃんがいた。
夜になって先生たちもお家に帰ってしまった。
電気が消されたあと、猫のクロちゃんがやってきた。
「ハナちゃん、おかーちゃんが受付鳥の伍郎ちゃんに様子を知らせるようにって頼んで行ったんだけど、なんかメッセージある?
「ない!」
「朝になったら伝言鳥のシジュウカラさんが来ることになっているんだけど、、、」
「知らん!」
ハナちゃんは、ひねくれた。
待合室から伍郎ちゃんの声が聞こえた。
「ハナちゃん、入院ってお金がかかるんだよ。ハナちゃんと夏芽ちゃんの治療費って5ナンバーの新車が買えるくらいかかっているらしいよ。」
「ふん!ハナちゃんと車とどっちが大事なんだ!」
「おとーちゃんは、ハナちゃんと夏芽ちゃんを送り迎えするのに、中古の安い車を買ったんだって。」
「・・・・」
朝になった。先生たちがやってきて、ハナちゃんを診察台に乗せた。
ハナちゃんは、ニタ〜っと笑って迫ってくる点滴針と格闘した。手には包帯が巻かれた。
翌日の夕方になった。おとーちゃんが迎えに来た。
「ハナ〜♡ よかった、生きてたね〜。」
当たり前だ。そんなに簡単に虹の橋を渡ってたまるもんか!ハナちゃんは心の中でつぶやいた。
「ハナ♡ おうちに帰ろうね〜♪」
「ふん!」
うちに着いた途端、ハナちゃんはハウスに駆け込んだ。
「おかーちゃん、ハナが目を合わせてくれないんだ。迎えに行っても知らん顔してるし。普通は喜んで尻尾を振ってくれない?」
「また嫌われたの?何か気に触ることでも言ったんでしょ?」
おとーちゃんは、またもや落ち込んだ。
夜になった。おかーちゃんが、ハウスに顔を突っ込んできた。
「ハナちゃん。心配しなくていいよ。おかーちゃんは、どうやったらハナちゃんを20才まで長生きさせられるか一生懸命考えているから。ハナちゃん、おかーちゃんと一緒に暮らしたいでしょ?」
「うん、、、」
ハナちゃんは、ハウスから出てごはんを食べた。写真のモデルも再開した。
「やっぱりここのうちがいいや。」
ハナちゃんは、おとーちゃんの布団に入ってあげた。お布団は温かかった、、、