
櫻子さんと名付けられた下駄箱の上には、おかーちゃんが一目惚れして買ったカエルさんが座っている。
このカエルさん、どうやら毎日福を呼んでいるらしい。
福を呼ぶカエルか。
ハナちゃんも真似をして呼び込みをしてみることにした。
「いらっしゃーい♪ ハナちゃんちへようこそ♪
あなたはだあれ?クモの赤ちゃん?いっぱい巣を張って蚊をとってね〜♪」
「お次はだあれ? イモリさん? 家を守ってくれるんだってね〜。ハナちゃんちの壁はどこでも張り付き放題だよ〜♪」
「ハナちゃん、玄関を開けっ放しにしたら虫が入ってくるじゃない」
せっかく呼び込みをしてたのに、おかーちゃんは戸を閉めてしまった。
「おかーちゃん、虫が入ってきたらカエルさんに食べてもらえばいいじゃん」
「じゃあ、本物のカエルさんをリクルートしてきてよ」
「連れてきてもいいの?」
「いいわよ。おかーちゃん、カエルさん大好きだもん♡」
おとーちゃんとおかーちゃんの好き嫌いは似ている。
でも、一つだけ決定的に違うものがある。
カエルだ・・・
ペットショップでカエルを見つけるたびにウットリ眺めているおかーちゃんと先回りしてダメ出ししているおとーちゃん。
どちらが勝つか、ハナちゃんと夏芽ちゃんはおやつを二日分賭けている。