
キャンプにはドッグランが付きものだ、と思っている夏芽ちゃん、ハナちゃんを誘って走りに行った。

「ハナちゃん、気持ちいいわよ。走らない?」

「ハナちゃん、今忙しいんだ」
「何やってるの?」
「ミミズさん探し」
ハナちゃんは、香水代わりに背中に擦り付けるミミズさんを見つけるのに一生懸命だった。

「じゃあ、ちょっと一走り♡」
ドッグランを端から端まで走った夏芽ちゃん、柵の幅が広いところを見つけた。
「あら、ここ、通れそう。わたち、スリムだし」

ワイルドドッグの異名をとる夏芽ちゃん、ドッグランを抜け出した。
「肉球の下で落ち葉がカサカサお話してる〜♡」
夏芽ちゃんは、あちこち歩き回った。

目が覚めたら、そこは焚き火の前だった。
「あれ? ここ、どこ? 暖かくて気持ちがいいわ。もうひと眠りしましょ」
焚き火に薪を焼べながら、おとーちゃんはひとしきり文句を言っていた。
「もう! ホントに! どこ行っちゃうかわからないんだから! 探すの大変だったんだよ!
やっと見つけたと思ったら、寝てて起きないし!」
夏芽ちゃん、やっぱりワイルドドッグである。