
ハナちゃんたちのごはんはシンプルである。
余計なものが入っていないこと、それがおかーちゃんがワンのご飯を選ぶ基準だ。
「もう老い先長くないんだから、美味しいものを食べさせてよ。今さら健康食なんて遅いわよ。わたちは相変わらずの皮膚病だし、ハナちゃんは白内障だし」
夏芽ちゃんは、おかーちゃんに訴えた。
「でも、少しでも長生きして欲しいんだもん」
おかーちゃんも譲らない。
「ねえ、おかーちゃん。小梅ちゃんに美味しいものを食べさせてあげたいと思わなかった?」
夏芽ちゃんは、切り札を出した。
おかーちゃんは、14歳で虹の橋を渡ってしまった、前のダックス、小梅ちゃんに弱い。
「まあ、思うけど、、、」
「じゃあ、もらったチュール、隠してないで出してよ」
かくして、ハナちゃんと夏芽ちゃんは、チュールをもらった。
夏芽ちゃんの交渉力は一流である。