
ママさんちから甘柿がたくさん届いた。
ザルに並べていると、話しかけてくる柿がいた。
「はじめまして。わたし、柿だるまの柿子さん。よろしくね」
「あら、お話しできるのね。わたち、夏芽ちゃん。ところで、柿だるまってなあに?」
「雪だるまの柿バージョンよ」
「雪だるまって暖かくなると溶けちゃうけど、柿子さんも溶けちゃうの?」
「溶けはしないけど、代わりに腐ってドロドロになってしまうわ。だからその前に食べてね」
「食べたら、もうお話できないじゃない。そんなの寂しいわ」
「そんなことないわ。夏芽ちゃんの体の一部になるから、いつでもお話できるわよ。わたし、カロチンもビタミンCも豊富だから、夏芽ちゃんの長生きに役立てると思うわ」
「そうなのね!うちに来てくれてありがとう」
夏芽ちゃんは、柿子さんを頂いた。太陽をたくさん浴びて育った柿子さんは、甘くておいしかった。
その夜、夏芽ちゃんは、寝返りを打ちながら笑っていた。
「キャー、やられたあ。えいっ!これでどうだぁ」
夏芽ちゃん、夢の中で柿子さんと雪合戦をしたらしい。
おいしい柿と楽しい夢をありがとう、柿子さん♡