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ハナちゃん日記♪ 保護犬ハナのつぶやき
3代目ダックスとして捨て犬ハナが我が家にやってきた。お見合いからトライアル、正式譲渡を経て、家族になった。
おひなさま


「はあ〜、よいしょっ! どっこいしょっ! よいこらしょっ!」
 
思いつく限りの掛け声をかけ、おかーちゃんは、今年もおひなさまを出した。
 
「出た出た今年も出たよ〜♪おひなさま〜♪」
 
おかーちゃんは、自分で作ったらしき歌を歌っている。
 
「そんなに気合を入れなきゃ登場しないものなの?」
 
コハルちゃんは、少々呆れ気味である。
 
「一年に一回しか登場しないから、物置のいちばん奥にしまってあるのよ。手前にあるものを全部出さないと出てこないの」
 
「ふ〜ん」
 
「じゃあ、コハルちゃん、モデルさんやってね」
 
おかーちゃんは、これまた滅多に登場しない着物を出してきた。
 
「あら、これ、振袖だわ!」
 
「知らなかったの? ハナちゃんのなのに」
 
コハルちゃんは、またもやお古かとため息をついた。
 
 
初めて見るおひなさまは、微笑んでいた。
 
コハルちゃんも真似をしてカメラ目線で微笑んだ。
 
「オッケー! さすが我が家のモデル犬♡」
 
お駄賃は、これまた滅多にもらえない、ササミ巻き歯磨きガムだった。
 
「おひなさまってごちそうを持ってくるのね」
 
コハルちゃんの中には「おひなさま=おいしい」とインプットされた。

 
 
「年に一回なんて言わずに、毎月来てね〜」
 
撮影が終わったコハルちゃんは、おひなさまを見つめた。
 
「ありがとう♡」
 
内裏様の声が聞こえた気がした。
 
 
右大臣が話しかけてきた。
 
「今夜は、特別に演奏会をしてあげる。子の刻を半刻過ぎたら観に来て」
 
その日の夜中、五人囃子の演奏とそれに合わせて踊る三人官女の姿があった。
 
おかーちゃんと同じだけ歳を重ねたベテランおひなさまの演奏会、チケットは完売らしい。